今年のロック・イン・ジャパンは収容人数を例年の半数以下とし、1ステージでの開催となります。
公園、県、市、地元関係者の方々と何度もの話し合いを重ねて私たちが出した開催の形です。
ライブ・エリアでの十分なソーシャル・ディスタンスの確保、会場内での移動を最小限に抑えること、通路における密の回避、そうしたことを実現し、安全なフェスを作ることを最優先した結果です。
2年続けての中止だけはしたくない、全ての関係者の思いはひとつでした。
多くのことを断念せざるを得ませんでした。残念だし悔しかったですが、とにかく安全を第一に開催を目指す、それを最大の目標として、いろいろな問題と向き合いました。
ジャパン・ジャムを一緒に作った、戦友ともいえるアーティスト全員とひたちなかでも再会したい、その強い思いもかないませんでした。
参加者の皆さんにもいろいろな思いがあるはずです。こんな形のロック・イン・ジャパンはロック・イン・ジャパンじゃないと思われる方もいると思います。それに反論することはしません。引き受けていくしかないと思います。
今年は、このロック・イン・ジャパンを受け入れ、引き受けてくれる方とフェスを一緒に作っていきたいと決意しました。
フェスは参加者が作るもの、と私たちはずっと言い続けてきました。フェスを開催する度に、その思いは強くなってきました。
そして、今回のジャパン・ジャムほど、それを強く感じたことはありませんでした。
既にジャパン・ジャムのプロデューサーとしてのメッセージに書かせていただきましたが、あのフェスを絶対に成功させるのだという参加者の皆さんの気迫は凄いものでした。
このコロナ禍の状況でフェスを開催し、それに参加することがどういうことなのか、参加者の皆さんは良くわかっていたし、すこし大げさな表現になるかもしれませんが、覚悟を持っていました。
それがクラスターを生まなかった結果につながったのだと思います。
ジャパン・ジャムの経験を踏まえ、より万全な安全対策を目指します。参加者の皆さんも共に安全なフェスを作ってください。
たくさんのルールがあります。たくさんの規制があります。もしもこれが面倒だと思うのなら参加を断念してください。フェスの現場では、これ以上のモラルが求められるからです。
私たちのフェスにはたくさんのスタッフがいることを、参加された方は知っていると思います。彼らはとても良く仕事をしてくれます。今年もたくさんのスタッフが頑張ってくれます。
しかし例年以上に仕事は多いと思います。そのなかで、このたくさんのルール実行を監視するのはとてもハードルの高いことになります。テントの人数制限が守られているか、定期的に見回ることは凄く大きな負荷となります。
守るという覚悟のある方だけ参加してください。
どんなルールも、守られていない場合は退場を含め、厳しく対処させていただきます。いつものような余裕を持ったオペレーションは困難となります。それを息苦しいと感じる方は参加を断念してください。
コロナ禍の状況下、ひたちなか市の医療に大きな負担をかけないことについても十分な配慮が必要です。病院、救急車、あらゆるものに余裕はありません。
コロナ禍の状況で、その貴重な医療資源はより貴重度が上がっています。私たちは熱中症対策にどこまでも慎重に取り組まなければなりません。参加者の数は半数以下になりますが、救護テントの規模は3倍以上にしています。
今年のロック・イン・ジャパンは開催する側も参加する側も強く覚悟が必要とされます。ただ、その覚悟さえあれば、あのフェス空間はいつものように、あるいはいつも以上に幸福な気持ちで満たされるはずです。
しつこく繰り返しますが、フェスは参加者が作るものです。ジャパン・ジャムの時、参加者の多くの方がメディア取材の矢面に立たされました。本当に申し訳ないと思いました。
しかし、参加者の方はその状況にあっても、堂々とフェスが安全に運営されていることを語ってくれました。私たちがどれだけ頼もしく感じたかは短い言葉では言い尽くせません。
アーティストに対しても戦友という表現を使いましたが、言うまでもなく参加者の方も戦友です。何だか、たかがフェスに参加するだけなのに大げさだし面倒だなと思われた方も多いと思います。
あえて言うなら、そう思っていただくために書きました。1人の方が誤った行動をすれば、フェス全体のイメージが損なわれてしまいます。それを私たちはジャパン・ジャムで学びました。その誤った行動を阻止するのはとても困難です。
ですから共にフェスを作ってくださる方に参加いただきたいのです。どんどん大げさになりますが、頼りは参加するあなたしかいないのです。一緒にフェスを作ってください。
2021年6月8日
ROCK IN JAPAN FESTIVAL総合プロデューサー
渋谷陽一
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021の第1弾出演アーティストの発表と、チケットの先行受付を開始します。2年ぶりとなるROCK IN JAPAN FESTIVALは、新型コロナウイルス感染症対策を徹底するため、例年とは大きく異なる形で開催します。
今年の開催について、会場である国営ひたち海浜公園、開催地元である茨城県やひたちなか市をはじめとする地域の皆様と長い時間をかけて協議をしてきました。
会場や地元のご理解をいただけるフェスにするためには、ステージ間の移動や会場内外での密集を防ぎ、公園の一般来園者とフェスの参加者が混在しない方法を模索する必要がありました。
以下、感染防止ガイドラインを含め、例年にはない様々な運営方針をご理解の上、チケットをご購入いただければと思います。
【収容人数を例年の半分以下とし、GRASS STAGEのみ1ステージとします】
今年は1日8組、5日間で40組のアーティストが出演します。ステージは一つとなりましたが、チケット料金は基本据え置きとさせてください。ご理解いただけますと幸いです。
【ステージと入場ゲートの往来は、まつかぜルートを使用します】
翼のゲートからご入場いただくことは変わりありませんが、GRASS STAGEへは例年使用しているそよかぜルートは使わず、まつかぜルートのみを使用します。観覧車のある遊園地エリアも通行できません。
【GRASS STAGE内は全てスタンディングゾーンになり、前方は入れ替え制とします】
GRASS STAGEでは、例年前方のスタンディングゾーンの外側にテント・シート・イスゾーンを設置してきましたが、今年についてはステージエリア内を全てスタンディングゾーンにさせていただきます。
参加者の皆さん全員がGRASSエリアにいても、十分な間隔を確保するためです。1㎡につき1人という業界基準に基づくと、69,000人収容可能な、69,000㎡の観覧エリアを作ることができました。
今年は例年の69,000人の半分以下の収容人数のため、十分な間隔をとることが可能です。
ステージ前方はアクトごとの入れ替え制にして、事前抽選で当選された方が入場できるようにします。皆さんにとって公平で、安全なオペレーションを実現したいと思います。申し込みの詳細は後日アナウンスさせていただきます。
【テントエリアを拡張し、利用ガイドラインを変更します】
GRASS STAGEのゾーニング変更にともない、ステージ周辺や、例年PARK STAGEやSOUND OF FOREST、HILLSIDE STAGEのある場所にもテントを張れるスペースを用意します。
このことにより、2019年に69,000人規模で開催された時の65,000㎡に対し20,000㎡多い、85,000㎡のテントエリアが確保できています。今年は収容人数が半分以下になりますので、十分なスペースがあります。
間隔を空け、通気良くテントをご利用ください。
真夏のフェスでは、コロナ対策と熱中症対策の両立が非常に重要です。その観点でテント等の利用ガイドラインを変更しています。
テント内での密集を防ぐために、テント内は1.5㎡に対し1名のご利用をお願いします。また、GRASS STAGE周辺のテントゾーンのうち、混雑が予想される一部のスペースに限り3m×4mの区画を指定させていただきます。
この区画内は上限4名とさせていただきます。ご協力をお願いします。
【車やアクセスバスツアーでご来場ください】
毎年、会場最寄りのJR勝田駅および周辺は、シャトルバスの待機列を含め混雑する傾向にあります。今年は電車利用ではなく、お車やアクセスバスツアーによる分散来場を推奨します。
収容人数は例年の半分以下にする一方、フェス専用駐車場は十分な数を用意することで、駐車券のニーズにしっかりと応えていきたいと思います。
JAPAN JAMに引き続き、厳しい状況下でのフェスとなります。日々変化する状況や情勢に合わせ、今後感染防止ガイドラインを改訂する可能性があることをご了承ください。
公園や県、市の皆様と緊密に協議しながら地域の感染状況を見守り、悪化した場合は中止も検討します。
JAPAN JAMでは、参加者の皆さんが感染症対策を徹底し、様々な制約の中でも新しいフェスの楽しみ方を示してくれました。
安全なフェスの開催を実現してくださった皆さんのパフォーマンスが、夏へフェスの物語を繋いでくれたのだと思います。
ROCK IN JAPAN FESTIVALにおいても、皆さんの強い思いと高いモラルが最高の5日間に導いてくれると信じています。
今年こそ、ひたちなかで会いましょう。
2021年6月8日
ROCK IN JAPAN FESTIVAL事務局