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この3日間で一番の暑さを記録しているはずの今日、その登場を待ちわびる数万人の前に鬼束ちひろが姿を現すと、まるで冷気のような静寂がスーッとフィールドに広がっていく。ベージュのドレスと、左腕にメッシュのアームカバー。裸足の下に敷かれた円形の赤じゅうたんと、傍らに置かれたグランドピアノ。たったそれだけで構成されたステージに、彼女は体内のエネルギーを開放する儀式のように身をかがめる。そして歌いだした1曲目は新曲“X”。離れられない恋人同士の情念や、運命に対する人間の無力を描いたようなヘヴィな歌詞を、体全体を絞るようにして歌い上げる彼女の声が、ビリビリと空気を震わせていく。歌声ひとつで、これほどの切迫感を伝えるステージは見たことがないかもしれない。「歌うこと」と「生きる理由」が1ミリのずれもなくぴったりと重なった、やはり鬼束ちひろはそういう表現者なのだ。“月光”“everyhome”、そしてエアロスミスのカバー曲“Dream On”(!)。どこまでも高まっていきそうなそのテンションが、次の甘いラブソング“Sign”でふわりとほどける。そこで初めて笑顔を見せた彼女は、このフェスの空間を、時間をとても楽しんでいるように見えた。最後に歌ったのはやはり新曲の“蛍”。力強く「永遠」を歌い上げる彼女は、とても自信に満ちて美しかった。(松村耕太朗)

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