ヤフーへの公開質問状

 フェスのチケットがソールドアウトする状況になり、私達主催者も参加者の方もチケット・オークションという問題と向き合わなければならなくなりました。オークションも、チケットを買ったけれど、どうしても行けなくなったので、定価で譲りたい、という善意のものであるなら、それなりの意味もあるでしょう。しかし今は、抽選販売と同時に、いわゆるチケット・ゲッター達がネット上に定価以上の価格で大量の出品をするという、とても腹立たしい事になっています。本来なら、行きたい人に回るべきチケットが、こうした一種のネット・ダフ屋ともいえる人達に押えられている事は、私達主催者としても残念な事です。この事態を改善すべく、現在オークションの最大手であり、当フェスのチケットも多量に出品されているヤフーに削除の要望を何度もして来ました。しかしヤフー側は何の対応もしない為、書面化した要請書を送りました。下に掲載しているのが、当社とニッポン放送が送った文面と、それに対するヤフーの回答です。この時、私達が問題としたのは、正規のチケットではなく、振込確認のハガキのみで出品されている事でした。ハガキでは、券種、枚数、日時の確認は出来ず、ヤフーの内規からも不適当なものであるのは明らかです。しかし文面にあるとおりヤフー側は削除しませんでした。
 私が非常に残念だったのは、ヤフー側に、こうしたネット・ダフ屋が横行している状況に対する問題意識が感じられなかった事です。明らかに、その状況に結果として加担しているにもかかわらず、放置しているとしか思えないのです。若い企業であり、音楽に対する理解もあるのではと期待したのですが、少し違うようです。回答の最後の部分は、文句があれば出品者に直接どうぞ、という意味なのでしょう。私には当事者意識の欠如と、一種の開き直りとしか思えません。当フェスのみならず、人気の高いコンサートは、全てこのオークション問題と向き合っています。音楽ファンのフラストレーションも年々高まっています。ヤフーはもっと真摯にこの問題と向き合うべきでしょう。
 いよいよ冬フェスのチケットが発売されました。今回も、振込確認のハガキを出すつもりでいます。参加者の方にはとても好評だったからです。しかし、こうしたサービスもチケット・ゲッター達に悪用されてしまうのが現実です。またヤフー・オークションにはハガキが並ぶのでしょう。しかし、私達はあきらめずに、こうした状況を作っている、ヤフーやゲッター達と闘っていこうと思っています。とりあえずは、公開質問状としてこの文章を書かせてもらいました。こうしたチケット・オークションの状況をどう考えているのか、そして当フェスのハガキによる出品を止める意志はないのか、回答をお願いします。基本的に、これからの論議は全て公開で行なおうと考えています。誠意ある対応をお待ちしております。

ロック・イン・ジャパン カウントダウン・ジャパン
総合プロデューサー 渋谷陽一


ロッキング・オン、ニッポン放送からの要請書

要請書

要請日:平成18年6月9日

ヤフー株式会社 御中

株式会社ロッキング・オン
株式会社ニッポン放送

YAHOO!オークションサイト内における「ROCK IN JAPAN FESTIVAL.2006チケット削除要請」

要請内容: 下記2点の理由に基づき削除要請申し上げます。

1.株式会社ロッキング・オンが販売しております「ROCK IN JAPAN FESTIVAL.2006」のチケットですが「本来譲渡、転売は固くお断りしております。また転売により購入されたチケットのトラブルについても一切の責任を負いません。」と告知させていただいておりますが、現状YAHOO!オークションホームページ内において「ROCK IN JAPAN FESTIVAL.2006」のチケットが高値で売買されております。このことによって弊社にお客様より苦情や問合わせがございます。そのため、削除要請致します。

2.またROCK IN JAPAN FES.2006チケットの発券は7月1日を予定しております。よって現在オークション内にあがっているものはYAHOO!オークションホームページの下記のルールと照らし合わせると、内容と異なっております。そのことに対して異議申し立てをし、削除要請致します。幾度か要請いたしましたが、再度早急な対処、削除をお願い申し上げます。

(下記、YAHOO!オークションページより)
■興行
チケットの出品に関するルール

  • 興行チケットを出品する際には、チケットの券面を確認し、出品したチケットの公演タイトル、開催日時、開催場所が判別できるように原則としてチケットの現物写真を掲載するか、公演タイトル、開催日時、開催場所および座席番号を出品説明画面に記載すること

何卒、早急な対処をお願い致します。

以上


ヤフーよりの回答

平成18年6月21日

株式会社ロッキング・オン御中

東京都港区六本木6―10―1
六本木ヒルズ森タワー
ヤフー株式会社 法務部

前略

 貴社より平成18年6月9日付文書にてご通知頂きました件について以下の通り、ご連絡申し上げます。
 弊社が提供しておりますオークション・サービスは、ご利用者の皆様が自由に商品を持ち寄って売買を行う自由市場であり、弊社が出品について事前に検閲するという性質のものではありません。あくまで皆様が利用規約や良識に従って、ご利用いただくことを前提としております。そのため、ご利用者の皆様に弊社の提供するオークション・サービスをご利用いただく際には、利用規約に同意した上で利用者登録していただいております。利用規約では違法な物の出品を禁止しているだけではなく、弊社のオークション・サービスの対象としてふさわしくないと考えている物についても出品を禁止しております。これらの禁止事項に違反している物を弊社が発見した場合、またはオークション・サービスをご利用になっている方々からご指摘をいただいた場合には、社内で確認の上、不適当な出品については削除する等の措置を可能な限り迅速に行っております。
 今回ご連絡いただいている書面では、削除をご依頼の個別の出品物の特定がオークションIDもしくはURL等でなされていないため、具体的かつ詳細な検討が出来ませんでしたが、弊社オークションにおけるチケットの取り扱いについての一般的な見解はお電話で申し上げた通りであり、現段階で直ちに削除相当との判断には至っておりません。
 弊社といたしましては、出品されているお客様との関係もございますので、明確な法的根拠がない中、送信防止措置である削除等の重い措置を講じることは出来ませんので、この点をご理解いただきたくお願い申し上げます。
 なお、最後になりますが、画面上の「出品者への質問」という欄から、直接出品者の方に警告等を含めた連絡を行うことも可能である旨、申し添えさせていただきます。

 以上の通りご連絡申し上げます。

以上