強い陽射しが照りつけるグラス・ステージ、2発目のアクトは’01年以来2度目の出演となるGO!GO!7188。最初のセッションから早くも、そのヤサグレたギター音とパワフルなビートに痺れさせられる。そして1曲目、“浮舟”! 日本的な情感と色気に溢れるメロディが力強く走るタイトなビートと絡み合う、GO!GO!独特の魅力をたっぷり詰めこんだこのナンバーで、スタンディング・ゾーン後方までいっぱいに埋まったフィールドは一気に彼等の独壇場に。グラス・ステージに響き渡るユウのたまらなく艶っぽい歌声。ギターをかき鳴らしながらアイロニカルな目をして歌うユウは、女の私でも鳥肌が立ってしまうほど、ひどく色っぽい。最高だ。
 “ サンダーガール”“C7”と続いたあと、「いいねえ。こんなとこでできて最高です。最後まで楽しんでってね」というターキーのMCを挟んで披露されたのは、デビュー当時から愛されてきた名曲“こいのうた”。イントロが鳴った瞬間、客席からも歓声があがる。「あの人は何を考え誰を愛し、誰のために傷つくの?」と切なく苦しい女の恋情を緩やかに狂おしく歌い上げるスロー・ナンバーは、炎天下のフィールドに涼やかに響きわたる。
クールダウンされたのも一瞬、ここで間もなくドロップされる新曲“青い亀裂”が炸裂! 約1年ぶりのリリースとなるこの曲は、和とロックが愛し愛され燃えあがる、GO!GO!らしい激情ナンバー。アッコとユウのソロ・ワークを経て、彼らがまたここからGO!GO!7188としてさらに攻撃的に、さらにディープに独自のけもの道を突っ走っていくことを高らかに宣言するかのように、テンションの高い音塊が投げ付けられてくる。
 日本的な土着性を強く感じさせる歌謡メロディとパンキッシュなビートが同居するGO!GO!7188のロックは、現在の邦楽シーンの中でも突出したオリジナリティを誇っている。ターキーが繰り出す太く強いビートに支えられ、内に渦巻く情念を絞り出すように音をかき鳴らすアッコとユウ。その絶妙なトライアングルは、その辺の男バンドよりもずっと野生的だし暴力的だし、でも同時に女性的な色気と知性も感じさせるものだ。
 ラスト・ナンバーは“文具”。弾けるリズムの上を転がるように突っ走っていくパンク・ナンバーにオーディエンスもオーディエンスもカラダを跳ねさせて食らいついていく。今夏はこのロック・イン・ジャパン・フェスを皮きりに全国の野外フェス巡りを行なう彼ら、そのライヴ・バンドとしてのタフな実力を存分に見せつけたアクトだった。(有泉智子)

1. 浮舟
2. サンダーガール
3. C7
4. こいのうた
5. 青い亀裂
6. 赤い月に吠える夜
7. 赤いソファー
8. とかげ3号
9. 文具