QUICK REPORT
2007.08.04

いきなり1曲目から“歩いて帰ろう”! その場にいた全員が歌えること間違いなしの大名曲で幕を開けたせっちゃんこと斉藤和義のステージ。もちろんその時点でレイク・ステージに集まったお客さんはみんな斉藤の声とギターの虜になってしまったわけだが、すごいのはそんな大名曲がこれだけではないということ。次に来たのが“空に星が綺麗”、そして3月に発売されたアルバム『紅盤』に収録されている“スローなブギにしてくれ”のカヴァーを挟んで、“歌うたいのバラッド”である。なんかただ代表曲を並べただけなのに反則技というか、これをやられたらぐうの音も出ない。しかもこの斉藤和義という人は、MCもほとんどなし、純粋に歌を積み上げていくだけでこれだけの「空間」を生み出してしまう。勢いとか熱気とかそういうもので圧倒していくのではなく、さらっとギター弾いて歌うだけ、なのである。それだけで妙な「匂い」というか「色気」というか、そういうものがぶわーっと広がっていくのだ。単にいいメロディが書けるとか、いい声をもっているとか、そういうのを全部超越した「音楽に選ばれた男」。彼のライヴを観るたびに、そう感じる。(小川智宏)