QUICK REPORT
2007.08.03

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気。エルレの登場を待ちわびる人たちのもんのすごい気が、GRASSステージ全体に立ち込めている。というか、なんかもう、すべての芝生を覆っている、そんな期待でパンパンになった中へ4人登場!……が、いきなりマイクのトラブルで演奏に入れない。やばい。どうする。とあせりながら観ていたら、淡々と、友達とスターバックスでしゃべってるみたいないつものあの感じで、MCを始める細美。「何年も住民税を滞納していたら昨日差し押さえられた」という話で笑いをとる。続いて、「昔、当時の彼女が俺の家に来る途中に、近所で、走ってた車の中からエアガンで撃たれて、俺は犯人探しに行って……」という物騒な話から始まって、きっちりきれいにオチる絶妙なMCで、さらに笑いをとった。と思ったらその瞬間「……ってことがありました、行くぞー!」と、間髪入れず1曲目“Supernova”に突入! どういうバンドだ。でも瞬時に、4万人、いやもっといるかも、とにかく広い広いGRASSエリア全土に一瞬にして火がつく! フェス仕様というかベスト・オブ・エルレというか、とにかく誰もが「これを待ってた!」と狂喜乱舞したくなる鉄壁のセットリスト。年間すさまじい本数のライヴをやっているとはとても思えない、まるで今日初めてステージに立ったみたいに、本当にうれしそうに楽しそうに幸せそうにプレイに没頭する4人。そして、スピーカーから放たれる……なんだ? これ。なんかすごくないか? 今日。フェスもワンマンも含めてそれなりにエルレのライヴは観てるつもりだけど、そして今日みたいな豪華セットリストのエルレも味わったこともあるけど、なんか違う。オーディエンスの数とそのテンション、バンドの気合い、思い、気持ち、そしてもしかしたら温度や湿度なんかの外的条件まですべてが合わさって、とんでもない化学反応が今この場で起きている感じなのだ。歌とギター2本とベースとドラムが、それに応えるオーディエンスの声が、興奮と感動と歓喜と笑顔と涙が、渾然一体となってどこまでもどこまでも高く昇って行く。アンコールまで含めて全12曲、演奏終了後の花火まで入れてぴったり1時間だったけど、10分ぐらいに感じた。もうほんとこれ以上ない、最高の1日のシメだった。

 最後に、アンコールに応えて再登場した時の、細美のMC。「あっという間だったね。これ、来年も続くのかなあ? これがくたばるまで続くんだったら、俺たちの人生捨てたもんじゃないよね」。本当にそうだと思った。(兵庫慎司)